忍者ブログ
にこのカオスブログ
一部同人的表現を含みますが、現実とは何の繋がりもないにこの妄想です。お嫌な方はダッシュで逃げて下サイ!

[24] [22] [21] [20] [19] [17] [16] [15] [14] [13] [12

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ガキくらべ

「ねぇ・・・俺でいいのかな・・?」

きた。
基本的に半年にいっぺん位の割合でやってくる喬夫の「俺でいいのか」病。まあ、俺が勝手に名付けてるだけなんだけど。
俺の相方、永谷喬夫大先生はある日突然、ホントに唐突に自分の道を見失うことがあるらしい。
この図体のデカイ子供は、その病気に掛かると性質が悪い。
とことん自分に自信がなくなるというのが、その主な症状。
こうなるとホントに頑固。

「何が。」
いつものように一言一句逃さないように、一瞬の変化も見逃さないように慎重に話を進める。

「全部。」
・・・・・・・・・・わかんねえって!

「全部って、例えば?」
ここは辛抱強く、長期戦の構え。
あ、さっきトイレ行っておけばよかった。

「・・・・・例えば、
 俺がギター弾くこととか・・・。」

・・・例えばっていうか、問題はそこなんだろう?
必死に苦しんでいる相方の横顔をちらりと見る。

俺に沸いてくるのは、嬉しい、と、愛しい、キモチ。

「弾きたくないわけ?」
正直喬夫が弾きたくないっていえば、俺はきっと止めないだろう。

喬夫から返ってくるのは沈黙のみ。
うーん・・・今回は重症かも。

こんな時はただじっと待つ。
コイツは、そんなに弱くない。

「俺、ダメだねぇ・・・。」

苦笑いのよな、諦めたような口振り。

「何で?」

「椎名君にこんな迷惑かけて、しかも・・・・・ギター弾けないし。」

「迷惑?」

まだ分かんないのか。

「なあ、喬夫。」
「?」
弱々しく、それでも顔を上げる喬夫に満足する。
「俺は俺のもので、誰のもんでもないけど」
俺の言葉は唐突すぎたんだろう、喬夫は意味が分からないという顔でぼけっとしている。

「俺の『歌』はお前が見つけたもんだろ。」

高校最後のあの年。
コイツに会わなかったら、俺は今ココに居ない。
これは明快な事実。

「だから俺の『歌』はお前のもんだよ。」

「!?」
何を歌っても、誰のために歌っても、根源はお前にある。
「お前がギターをやめたいなら、やめればいい。俺は止めない。」

「でも、俺も歌わない。」
俺にとってはコレが当たり前。『当然』のコト。


「・・・・・・・・・椎名君、それ・・・脅しです・・・。」

喬夫の困ったようなはにかみ笑い。
んでもってその顔は真っ赤。

うん、うん。
迷子の子供、無事保護、だな。


コイツがこうも不安になるのは、常に必死だから。
闇雲にあがくから。
俺だってそういうときがある。
でもそういうとき、いつも欲しい言葉で俺を捕まえていてくれるのはコイツだから。
俺もコイツにとって、枷でありたいと思う。

本当に居たい場所にちゃんと繋ぎとめてくれる、枷。


『お前のギターがなきゃ歌わない』

俺のが子供か・・?







正直あの「歌」を「お前のもんだ」と当然のように言われること以上に
甘美な誘惑はないであろうという、一種の異常レベル崇拝(笑)によって作成。
PR

Comment

お名前

タイトル

メールアドレス

URL

パスワード

コメントVodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

文字色


Trackback

TrackbackURL

<おばかさんなの私~♪  Home  共に>

カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新TB
プロフィール
HN:
にこのたね。
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
BlogPet

忍者ブログ [PR]

TemplateDesign by 比呂有希|ススメ::342blog